NT-1 1992年2月

投稿者: | 2021-12-27

デジタルマイクロカセットレコーダー・スクープマン登場です。
でも何で「デジタル・プレスマン」じゃなかったのでしょうか?
このネーミング、実は発売直前に付けられたというのがあったとか、なかったとか。

切手サイズのカセット。この企画、実はDATとほぼ同時進行だったというのは意外と知られていないかと。
この頃の製品開発-特に携帯機器-においては、まず企画部長から「このサイズで作ろう!」という具合で
木型が作られ(トップダウンの企画。ポータブルCDプレーヤー・D-50はその代表例)開発が進められるのですが、
これに関しては当初は何処まで小型化が可能かというところから始まり、ある新聞に掲載された他社の切手サイズの
カセット開発記事を知った技術者側から更に拍車が掛かったと云われています。
前出の逆パターン-ボトムアップ企画-ですね。

で、カタログ本編に戻って使用用途の記載順に注目。DATでは音楽用途もしくはライブレコーディング(生録音)が
先に、メモ録や会議録音用途は後になっていますがこちらでは逆です。 何故か? それは後出。

国産初のテープレコーダー・G型から42年における磁気録音技術の集大成と云っても過言ではないNT-1。
テープ厚の薄型化を図るために取った方法は、3年前に発売されたHi8用のテープ技術・真空蒸着方式の
メタル蒸着テープを採用。デジタル記録方式は今まで培った実績のヘリカルスキャン方式ですが、
従来のローディング方式ではどうしても複雑かつ空間確保が必要となります。そこで、真逆の発想。
だったらテープガイドとピンチローラーをカセット側に内蔵してしまえばいいのでは?と云うことで、
カセット側にその機能を設け、回転ヘッドドラムをカセット側に入り込ませる形に。
でも、もう1つこの記録方式にはトラッキングサーボ機構を必要とします。そこで、スキャン回数を
倍にして、読み込んだデータを一旦メモリーに入れておき後でデータ合成をするという方法を採用。
機構的に難しいのなら電気的に行えばどうだろうか? その方式がノントラッキング方式。
型名にも、ロゴマークにもその名が刻まれてます。

やはり第一号機というからではないですが、付属品が充実。テープもマイクもヘッドホンもついてます。
アダプターユニットは見た目に今で云うならレンズ交換式デジタルカメラのオプション、
縦位置グリップみたいな感じでしょうか。


ただ惜しむべくはテープがどうしてもこの大きさ故、DATみたいに片側では無くコンパクトカセットみたいに
A/B面が存在することでしょうか。それと本体は片側記録であるため、テープをひっくり返す必要があるという。
テープをひっくり返す必要がなくなるのはもう少し先になるのでしょうか。

更に前出にありました録音用途の記載順の話に関し、ここで説明を。
当初この機種の試作段階ではDATと匹敵・・・いや、同等の実力があったのです。
(この時点でサンプリング周波数:48,44.1,32kHzの3種。量子化ビット数も16bit直線/12bit非直線の2種。)
先行のDATレコーダーがなかなか普及に至らず、すったもんだの末ようやく軌道に乗りつつあるかのところに
この機種を出すとなると、このままではDATとのカニバリズム(共食い)状態になってしまう恐れが生ずると。
方式の乱立も芳しくない。(とは云ってもそれでも乱立になりかねないですが)
そこでDATのLPモード(サンプリング周波数:32kHz 量子化ビット数も12bit非直線)相当のみの、メモ録
専用機扱いにして欲しいとの上層部の要望により、泣く泣くこの記録設定になったといわれています。
(仕様に記載の「17bit相当を圧縮」というのも妥協案の1つ?)
よって録音用途の記載順がメモ録・会議用途が初めにきたわけです。

注記:本文内容に関して、以前に自分が愛読していた雑誌に本機種の開発ストーリーという記事があり
その記事を参照に書いたつもりではいますが、現在手元にその記事がないため記憶を頼りに書いています。
よって、記事の内容が事実と異なる場合がありますので、その点をご了承ください。
なお、相違点などありましたら、ご報告あり次第訂正致します。
それと文中の「D-50の木型」については下記webの第3話に詳細が掲載されています。
ソニーグループポータル | Sony History 第9章 石もて追われる大賀

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