突如(ん?)現れた新フォーマット・Hi8。 でもこの構想は8mmビデオの開発時からあったそうで。
(スタンダード)8mmとHi8の関係って、ハイバンドベータとED-Betaの関係に近いかと。
まずはテープから。酸化鉄のベータ/メタルテープのED-Betaのように抜本的に異なった訳では無く
元々スタンダードでもメタルテープであった8mmの場合、更に高性能にするには磁性体の微粒子化・高密度化・
配列の最適化という方法を取るか、別のアプローチでいくかということになるが、前者の方法を取ったのが
MP(Metal Particle:メタル磁性粒子塗布型)テープで、磁性体を真空蒸着させるという後者の方法を取ったのが
ME(Metal Evaporated:メタル磁性体真空蒸着型)テープということに。ただ後者に関してはソニー”独自”と
本編では書かれているが、実を云うとこれよりも10年ほど前にカセットテープでは実現している。
それは松下電器から出ていた「オングローム」というテープ。元々はマイクロカセットの長時間記録を目的に
出していたものであったが、高域特性が思いのほか良かったためにコンパクトカセットにも採用したのがきっかけ。
初めはHIGHポジションのDUだけだったのが後にMETAL(MX-DU)/NORMAL(X-DU)も。
ちなみにコンパクトカセット版のは3種類とも蒸着テープ(上層)と塗布型テープ(下層)の2層構造。これは逆に
(クロスライセンシーの兼ね合いで)ソニーのDUADを参考にしたものと思われる。話が逸れてしまったが。
訂正:斜体部分(DUADを参照云々について)
松下電器のオーディオテープはテクニクスブランドの頃からTDKからのOEM(相手先ブランドによる製造)を受けており、
オングロームDUシリーズにおける2層構造というのはTDKにもSA-Xという自社開発の磁性体「アビリン」を低域用・高域用に
それぞれチューニングしたものを2層構造にしたテープが発売されていたので、構想自体はそれを参考にしたものと思われるのだが、
磁性体塗布層の上に蒸着層を・・・という方法は松下電器独自によるものかと。
機器側ではハイバンド化。流石にED-Beta程にはいかないまでも白ピークレベルをスタンダード8mmの
5.4MHzに対し7.7MHzまで上げて、水平解像度を400本以上に。周波数偏移も1.2MHzから2MHzに拡大し、
S/N比の向上を図っています。それからY/C分離出力端子(S端子)を装備し、記録ヘッドにも保磁力の強い
テープに合わせた素材「センダスト」を斜行配置した新TSS(Tilted Sendust Spatter)ヘッドを採用。
ここまではCCD-V900もEV-S900も共通です。
カムコーダーのCCD-V900。ベースモデルはぱっと見CCD-V88、デッキブロックがグリップ側にあるところといい、
マルチアングルのビューファインダーにしたのはCCD-TR55の影響か。LCDの大型化はダビング時の送り出し
側としての使用を考慮してのことかと。デジタルシャッターに関して、1/10000秒の設定は当時最速。
画像に関しては前出のHi8以外にも、CCD素子の多画素化・チェッカーフィルターの追加で解像度を上げたことに
対し、音声系に関してはマイクを指向性の異なるユニットを用いて状況に応じ対応するデュアルカプセルマイクを
採用したとはいっても、記録自体はAFMモノラルのみとむしろ逆行した感は否めない。
据置型のEV-S900。一言で云うと、EV-S800・Hi8ヴァージョン。以上!(おいおい)
まあダイナミックコム(櫛形)フィルターを搭載したとは云ってもコンポジット入力時のみなんで。
デザインでもS800に相似。サイドウッドは付属ですが・・・というか元よりそういうデザインにしたかと。
でも・・・インシュレーター『調』のフット? これって・・・何? 回転系のある機器だと脚部って
結構重要だと思うのだが。「足なんてただの飾りです!」っていうこと? 某アニメの台詞じゃないって!
あとジョグ/シャトルコントローラー部の形状はS800ではパネル側を傾斜させていたのに対し、本機では
EDV-9000と同様にパネル面を維持したままでリブの上下に傾斜を付けたデザインに。
右下のマルチディスクプレーヤー・MDP-911にデザインを合わせた形に。
EV-S800はインシュレーターを履かせると、その位置がやや外側で見た目のバランスが悪いなあと思ってましたが、S900は内寄りになったのでいい感じに見えます。色味もブラックじゃなく濃いめのシルバーなのも良い!そもそもパネル高8cmの機器はすべて好きなんですよね。
パネル高かあ・・・自分は10cmかな。(一部例外はあるが)何となくどんな機器でもしっくりくる高さな感が。
パネルの色味というか仕上げまで及ぶけれど、本機種のようなガンメタリックいいですね。しかも梨地仕上げ
(表面が鏡面仕上げのように光沢があるのではなく、梨の表面みたいに細かい粒々状の処理が施されているもの)
なら尚のこと。
S800からのほぼスライド
せめてリニアタイムカウンター搭載にしてくれたらよかったのに・・・
にしても、S800,S900のデザインは購買意欲をそそる
8ミリは何故か高級機でもカウンターが4桁タイプでしたね・・・ソニーさんのことですから、何か理由がありそうです。
ほんと、直線基調のデザインはかっこいいですね!