スーパーオーディオCDカタログ 1999年5月

投稿者: | 2023-04-29

1982年のCD(コンパクトディスク)発売から16年半、デジタル技術の革新は次世代の「器」を望んでいたのでしょうか?
それに呼応するかの如く登場しました、スーパーオーディオCD(SACD)。




デジタルデータ化において、従来のCDに使われていたPCM(Pluse Code Modulation:パルス符号化変調)方式は
正弦波の横軸を再生可能帯域を決めるサンプリング周波数に、縦軸をレベルの大小に置き換えて量子化という方法で
行いますが、変換後の波形はどうしても階段状の波形になってしまいます。SACDの場合は、単純に0/1の1bitに
置き換えることとし、レベルについては基準値に対し0/1の密度の差に置き換える形にします。このパルス波形の
密度差(濃淡差)に表現することで、元の正弦波に近い形として変換していきます。
この変換手法をDSD(Direct Stream Digital)方式といいます。

ただどちらも変換行程に圧縮過程がないため、データ容量はCDに比べて単位時間あたり4倍に。どうしても専用の「器」
・・・というか、それなりの媒体が必要になったと云うことで、専用のディスクが開発されました。
サイズは幅(12cm)・厚み(1.2mm)とCDと同じですが、実は0.6mm厚の2枚貼り合わせ。容量はCDの780MBに対し、
約6倍の4.7GB。この容量差を逆手(?)に取り、マルチチャンネル(最大6ch)化も。また2層ディスクならではと
云うことで、CD/SACDのハイブリッドディスクも準備。(CDのデータ読み込みは0.6mmの地点で折り返すため。)

ピックアップはCD/SACD独立型のため、流石に光学系を移動させる方式は無理だったのでしょうか、
CDP-5000/3000/R10及びXA-ESシリーズ同様の光学系固定のメカブロック。ただカタログの画像だと
どうもピックアップがオフセット状態なため、どちらかで微調整されていたかどうかは判断出来ない。

価格設定ですが、SACDの普及を考えこの価格(¥500,000(税別))にしたというのですが、CDの初号機・CDP-101
(当時:¥168,000)と比較しても、本当に普及させるつもりはあったのかとかなり疑問に思ったのですが、
本機の試聴会に参加した際に企画担当者から「本来ならこの価格設定だと元が取れずにトントン」ってな
話をしていたような、いなかったような・・・

CD部に関しては、CDP-X3000/XAxxESシリーズ同様に可変(Valiable Control)デジタルフィルターを搭載。
音色の違いを楽しめるとのこと。

本体側での操作は至ってシンプル。リモコンでの操作を優先ってところか。

さてSCD-1も出たことだし、他も変えますか・・・といわんばかりのラインナップ。
はて? この光景、CD登場時も同様の光景があったかと。”for DIGITAL”とかのフレーズで。


プリアンプ・TA-E1 ESPRIT,Rシリーズじゃありませんが、価格帯はほぼ同等。
新開発のリニアフェーズサーキットという名のモジュールという「ある意味ブラックボックス・・・
もとい、メタルボックス化」したモノが鎮座。ESPRIT・#900やTA-ER1とは完全に趣が違~~~う!!
PHONO入力系も完全排除。ライン入力専用設計と化した本機。
変なモジュールでお茶を濁すとは・・・ソニーよ、いつからGOLDMUND化したのか?


パワーアンプ・TA-N1 こちらにもプリドライブ段に謎の素子・リニアフェーズサーキットが。
ヒートシンクが剥き出し(シャーシの一部に仕立てる)の筐体構成は1983年発売のESPRIT・TA-N902以来。
パワー段の素子はTA-NRと同様の専用MOS-FET。「トーラス・トロイダルトランス」って、てっきり「水瓶」の
意味かと思ったら、幾何学のほうのトーラス(一般的なドーナツ型)のほうだったとは。トランスのケース形状が
どことなく亀っぽい感があったので。(おいおい。亀はトー「ラ」スじゃなくってトー「タ」ス。)


スピーカーシステム・SS-1ED EDとはExtended Definition(超高解像度)の意味。
Exciting Dressyじゃありません・・・って某車のかつての車種じゃないって!
どことなく見た目がAvalon Acoustics(USA)の製品っぽく思えるのは何でだろう?


スーパートゥイーター・SS-TW100ED SS-1EDのスーパートゥイーター部分を単品化。
こういうユニットの販売は今まで無かったかと。
右側にちょこっと掲載されているのはスピーカーシステム・SS-AL5mkII。
前モデル・SS-AL5の高域特性強化型。前モデルではソフトドーム型トゥイーターだったのをTW100ED同様の
カーボン・グラファイト・コンポジット(ハードドーム型)を採用。30kHzまでだったのを70kHzまでにしたもの。
ちなみに記載されている”arflex(アルフレックス)”とは、イタリアの家具メーカー。ただ日本にここで修行した
保科正氏が極東地域の販売権及びオリジナルの製造権を得て、日本法人を創立。もしかするとこことの
(エンクロージャー製造の技術)提携によるものか?


スーパーオーディオCDカタログ 1999年5月」への1件のフィードバック

  1. とり

    スピーカーはアメリカで作ったようですよ。開発というか。
    このころはまだアメリカに拠点があったようです。

    返信

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