1990年代前半に”HitBit”(MSX)、”NEWS”(ワークステーション)、”Quarter L”(AX規格)の3つのコンピューター事業を停止。
そして「普通のパソコンではソニーが作る意味がない」と当時の社長・出井信之氏が豪語し、1997年に再参入したのが
”Visual Audio Integrated Operation”・・・この頭文字を取った”VAIO”という名のPC。
この名称にはもう1つ”VA”で正弦波を意図する形でアナログを、”IO”で1と0という風にデジタルを意図し、「デジタルとアナログの融合を」という意味合いをも持たせている。
第1弾はデスクトップのPCV-T700MR。こちらはビデオキャプチャーなどを標準実装した如何にもVAIOという名称を意識した機種ではあるが、
同時期に発売されたノート型のPCG-707/705は流石に当時のスペックでは動画の編集は無理ということで他社とはそれほど差別化が図れなかったかと。
(一応、デジタルカメラとの赤外線通信やドッキングステーションを用いてのデジタルビデオカメラとの静止画キャプチャーは可能ではあったが。)
ただ筐体のカラーリングは今までのパソコンがモノトーンのものが殆どだったのに対し、青紫色(ヴァイオレット-”VAIO”だけに?-)というのは、
まあ確かに今までのパソコンにはなかったかと。
ただノート型については本機が「本気」のノート型なのかもしれない。B5ファイルサイズに収め薄型化、そのために筐体強度を上げるため当時はかなり値が張った
マグネシウム合金を使用するという徹底ぶり。”VAIO”のロゴもこれ見よがしに大胆にフィーチャリング(ただ流石にエンボス加工は難しかったとかで)。
このPCG-505の登場以降、ノートパソコンの在り方を変えたといっても過言ではないかと。
画面部分を開いた状態。入力装置にマウスの代行としてIBM(現:lenovo)の”ThinkPad”にあるポインティングデバイスや、松下電器(現:パナソニック)の
”Let’s Note”やDEC(現:HP)の”HiNote Ultra”にあったトラックボールでもない、感圧式タッチパッドを採用。
(明記はされていないが、プラスチック先端のペンが付属ということからしてもそう推測される。)
「薄い・軽い」とはいうけれど、実は本機の3年ほど前にDEC(Digital Equipment Corporation)から出ていた”HiNote Ultra/Ultra II”という機種があり
(あの日あの時あのコンピュータ(11) スリムノートブックの先駆者 – DEC「Digital HiNote Ultra」 | マイナビニュース (mynavi.jp))、
また本機の発売の1ヶ月前に三菱電機からも”Pedion(ペディオン)”というノートパソコンが出ていた
(三菱、超薄型・軽量のA4サイズノートパソコン「Pedion(ペディオン)」 (impress.co.jp))。
どちらもA4ファイルサイズの機種で、前者が280(W)×30.5(H)×216(D)mm,1.8kg(バッテリー込み)、後者は297(W)×18(H)×218(D)mm,1.45kg(バッテリー込み)。
本機は259(W)×23.9(H)×208(D)mm,1.35kg(バッテリー込み)と単純に比較は出来ないが、まあ薄く軽いことはいえている。
寧ろ比較すべきは価格かと。発売当時の価格はHiNote Ultraが¥558,000、Pedionが¥578,000~728,000とおいそれとは手が出ない価格だったのに対し、
本機はその半値の¥258,000というのも人気が出た一環だったかもしれない。
本文中のUSBコネクタの説明に「将来の拡張用」と記載されているのは、当時はまだOSが対応していなかったため。
実質には次のOS”Windows98”のセカンド・エディションが出回った頃になって普及し始めたという。
バッテリーパックLの装着時、幾らか角度が付く・・・ということはなかったかと。
ブラウザー。Netscapeがデフォルトとは・・・時代なんでしょうかね。
ハードディスクの容量が1GB。当時はこれでも十分だった。ちなみに文中に出てきた三菱電機のPedionも同容量。
これだとハイエンド機種といえるのか?と製品発表の際に記者から突っ込まれたとか。そりゃあ本機とほぼ同時期に出すのに何でそうなのかと突っ込まれるのも無理はない。
懐かしいなあ。
Pedionは仕事で使ってましたけど特殊バッテリーの劣化がひどくて
フル充電状態でもWindows起動中にバッテリーが無くなるのでACアダプタ必須でしたね。